F-15の冬のドラテク〜。第七回〜実践偏〜市街地走行
さてさてついに、このコーナーも実践走行に入ります。
実際の走行では注意する点が多くありますが、市街地と郊外(峠など)では注意すべき点が違ってきます。
たとえば、峠では地吹雪のような自然現象に対しての対応が主ですが、市街地では信号の変わり目などへの対応に重点を置く必要があります。
したがって、市街地の冬道で気を付けることは主に四つ。
まずは止まること。とにかく止まることです。
次にすれ違い。車両間隔が試されます。
それから、小路などへどこまで入れるか。また、どうやってハマらないように気をつけるかです。
そして最後が他車や歩行者への配慮です。
アイスバーンと信号〜止まらない現実
まずは、私が運転していて危険だと思われるケースを元に考えてみます。
まず一つ目は雪は特に降っていないが、昼間に暖かかった為に解けて凍ったりして路面がスケートリンク状態の場合です。これが一番スリルを味わえる運転です。
この場合は、まずはとにかく止まることに全神経を集中させる事が重要です。
たとえば、何100m先かの信号機が赤に変わった場合でも速度などによっては止まれない場合が出てきます。
特に注意が必要なのは、下り坂の先に信号機が有る場合です。
重力による加速も加わり非常に止まりづらいです。
普段は何気ない程度の傾斜でも冬は非常に厄介なものとなりますので注意が必要です。
また、高架橋などは高架橋の降りた部分に信号が有る場合が多いため、こういった場所を走るときにも注意が必要です。
そこでこういった事に対する対策を言うと、まずは減速を早めに行うことです。
なかでも慣性走行(つまりアクセルオフ)の状態は非常に重要で、早めにアクセルオフにすることで、減速体制に早めに入ります。本当に滑るときだと何百メートルも手前から周りのクルマも慣性走行に入ると思います。
それから、次に信号機の見極めです。
目の前で信号が変わっても止まることなど不可能です。したがって、いくつも先の信号を見ながら進行するのが重要です。
また、歩行者信号を見て信号の変わり目を予想し、場合によっては青信号のうちから減速する必要が有る場合も出てきます。
それから、信号の変わり目になったが止まれないという状況も出てくると思いますが、そういった場合には状況にもよりますが、仕方がないので加速して、通過してしまう必要の有る場合もありますので臨機応変に行きましょう。
なお、冬場は信号の変わり目で止まれずに突っ込んで来るクルマがいます。というかそうせざるを得ない場合もありますので、逆の立場、つまり右折待ちや信号待ちの場合は青になったり矢印信号がついても、すぐに出発はせず、確認してから進みましょう。
時間はかかりますが、事故に遭えばそれどころではない時間を消費すると考えれば、少ないものです。
発進と右左折〜急は禁物
他にも当然ながら、急発進しない。
ATだと2速から入るモードなどもあると思うので活用しましょう。MTでも空であれば、2速発進が有効な場合もあります。
右左折の際には非常に横滑りしますので、夏場以上に減速するとともに、右左折車が前にいるときには減速すると思って、こちらも準備しましょう。
坂での一時停止〜予め徐行で
あとは、滑ると言えば一時停止も問題です。特に下り坂の先にある一時停止は予め徐行していないと止まれないので、こちらも注意が必要です。
なお、路面が凍っているかどうかの判断も必要になると思いますが、詳しくは第四回を参考にして下さい。
あとは、とにかく止まらない事をちゃんと頭に入れることです。よく、様々なサイトなどで、最近のスタッドレスは性能が良い。とか色々と聞きます。それは否定しませんし、確かに年々良くなっていますが、北海道の市街地を走ると、私でも年に何度もスタッドレスの「すぐ止まる」のCMは全部大嘘(苦笑)と本当に思います。
特にこちらではシャーベットではなく氷ですから。
圧雪路と吹雪〜ライト点灯。でも思ったよりは走りやすい
次に氷ではなく雪の問題についてです。
まずは吹雪。吹雪といっても郊外と違って市街部での吹雪では視界が無くなるような事は滅多にないので、それほど問題視する必要はありません。
却って、雪が噛むのでグリップしやすく走り易いくらいです。
ですが、必ずしも周りの全員がそうとは限りません。
まずはライトを点灯しましょう。全灯まで行かなくても尾灯くらいはつけましょう。後ろにいるクルマにとっては非常に楽になります。
次に、雪が噛むとグリップはしやすいのですが、進路変更や曲がったりする時には難しくなります。砂利道を走っている感覚で、ステアリングの「遊び」を活用して運転しましょう。
雪山と小路からの合流〜冷や冷やの瞬間
それから、雪山。これが大きな交通の障害となります。
小路から出るときには、もう冷や冷やもの。大通りを走っている側としては、飛び出してくるかもしれないと言うことで、こちらも冷や冷やで、どちらの立場でも嫌なものです。
どうすれば良いのか?と言ってもこれに関しては対処法はこれと言ってありません。
お互いに気を付けると言ったことですが、あえて言えば、まずは見通しの良い場所にいるうちにある程度の見切りをつけること。それから、出入り口が広ければ斜め向きに合流する事で幾分緩和することが出来る場合があります。
除雪車との遭遇〜余裕を見せて
それから、この厄介な雪山を持っていってくれたりするのに重要なのが除雪、排雪業務です。非常にありがたい事ではありますが、除雪車の方も注意を十分に払って運転をされているとは思いますが、除雪は一時間とかそう言う時間で簡単に終わるものではないので、場合によってはクルマを見落とすこともあるかと思います。
君子危うきには近寄らずとはよく言ったもの。
クルマの側も作業中の除雪車には近づかないようにしたりするなど、配慮しましょう。
それから除雪中は車線が減少したり、除雪車がゆっくり走ったりするので渋滞しがちです。
でも冬の運転は我慢が重要。我慢していれば、どこかで道を譲ってくれるはずです。
もしもどうしても嫌なら、コースを変更するなどして対処しましょう。
なお、当然ながら交通量の少ない夜に多いです。
小路の走行〜譲り合いで
続いて小路。小路では渋滞などは無いのですが、小路は小路で危険がいっぱいです。
北海道はよく道が広いと言われます。
これは冬場の雪置き場の意味合いと新しく設計されたので、広く道路用地を取れたのが要因で、生活道路の小路でもクルマが十分にすれ違える程度の幅が用意されています。
しかし、冬場はそうはいきません。
雪で幅が狭まり、片側交互通行となります。更に一方通行といった規制も無いために非常にスリリングな運転が楽しめます。
まず、こういった道で対向車が来た場合は、回避余地があれば、なるべく止まって通しましょう。譲り合いが重要ですし、運転の上手いクルマほど余裕があるのか余地を上手く見つけて譲ってくれるものです。例えばタクシーや貨物トラックなどプロの方はかなりの確率で譲ってくれます。
また、向こうが譲ってくれた場合にはお礼の挨拶でもしながら、とっとと通りましょう、もたもたしていると譲ってくれた側にも失礼です。
因みに当然ながら、すれ違いに失敗して擦った時は動いている側に責任が生じますから、プロの方が譲ってくれるのは、こういう事もあるかもしれませんがね。
小路の交差点で出会った場合には普段の交通ルールとは違っていても臨機応変な対応が必要です。
例えば、対向車が来て向こうが右折、こちらが直進ならば、対向車を先に行かせましょう。
すると、道が広くなりこちらが進みやすいですよね。
他にも左折しようとして、進みたい方向で一時停止で止まっているクルマがいたとしたら。
優先度はこちらですが、こう言うときも向こうに先に行ってもらった方が、良いですよね。
こういった様に臨機応変に対応しましょう。
更に避ける時を始め、小路ではちょっとしたミスでかすったり、ハマったりしがちです、路面の雰囲気や傾斜などに十分に注意して進行しましょう。
特に斜めに変なバンクが氷で出来ていると、横滑りしますので、気を付けて下さい。轍が出来ているところでは、轍にハマったりしやすいです。特にこれは春先の幹線道路がでは路面が解けたくらいの時期に多いので、春先も注意して下さい。軽自動車などは轍が狭いので特に小路ではハマらないように注意が必要です。
高等テク〜他者への配慮
あとは、ここまで来るとある意味高等テクですが、余裕があれば他車にも配慮しましょう。たとえば、信号で止まった時に余裕があればルームミラーを見てみましょう。
後ろのクルマが速すぎたり、止まれるか怪しかったりしたら、安全に配慮した上で少し前に出てやるとか、そういった事もいいでしょう。
それから斜め横断している歩行者の人は、足下は凍っているので転ぶかもしれません。夏場以上にこういう人には配慮しましょう。
なお、自分が歩行者の立場の時にはこういう行為は夏場以上に慎みましょう。迷惑です。
それから、生活道路などでは道路が狭いと歩行者の人が車道を歩くこともしばしばです。
こういった時にはクルマを気にして歩行者の人が避けてくれる場合が多いのですが、避けるとたいてい、そばには深い雪があって靴などが濡れて大変です。
クルマの側は避けてもらえなかったとしても、時間が遅れる程度ですから、極力歩行者の人を優先しましょう。もしも避けてくれたら見えないかもしれませんが、挨拶くらいはしたいものです。
更にどうしても止まれない時にも最後の手段として、損害の少ない側を選ぶ努力が必要です。
たとえば、前のクルマに衝突するよりは、雪山に衝突した方がマシですよね。
自損で済みますから。
電柱と他車の場合も状態にもよりますが、電柱を選んだ方が物損で済むのでいいかもしれません。
また、右折レーンが空であれば、そちらに突っ込むのも良いかもしれません。
こういった様に、究極の選択になりますし、緊急時は慌てていてこんな事を考える余裕も無いかとは思いますが、頭に入れておきましょう。
道内ではクルマの平均速度が速くAT車であれば普段はオーバードライブはオンで走る事が、多いです。ですが、冬場は市街をオンの状態で走るとブレーキをフットブレーキのみに頼るため大変です。
常時オフにするか、ちょくちょく切り替えをしましょう。2に落としてエンブレを効かせるのも状況によっては有効です。
MTの場合も早めのシフトダウンでエンブレを有効に使いましょう。
安全運転、でも速度はそこそこで〜
最後に安全な運転をした上での事ですが、雪道となるとビビってしまって、非常にゆっくり走るクルマをよく目にします。
たとえば、幹線道路なのに20km/hとかで走っているクルマです。運転に自信が無いとか、どうしても慣れないのならば仕方がありませんが、冬場であっても案外流れは速いものです。当然、状況にも依りますがせめて制限速度-10km/h程度では走りましょう。
だって、信号もずーっと青で先頭なのに徐行の様な速度で走っては迷惑ですよ。
冬場はただでさえ渋滞しやすいので、あまりに遅いと周りもイライラの原因となります。
特に上り坂は止まり易いので、上り坂の連続する場所などでは、過信は禁物ですが、周りのクルマのペースも速いと思います。
つまりは、夏以上にメリハリをつけて運転することが重要だということです。
必ずしも遅い=安全ではありません。
次回は郊外路走行です。
|